ヴィスコンティの魅力

ほとんど「魅力」シリーズ化してきたが、この「魅力探し」は自分のルーツ探索にもつながるとこの頃は感じ始めた。

50才になって長い時間の映画を見る体力がまったくなくなってしまい、映画そのものが本当に遠くなった。30分のアニメさえほとんどがしんどく、最近見ることができたドラマは、例の「とっとテレビ」くらいかな。

とはいえ、10代20代の頃は僕は映画マニアで、いまのようなミニシアター系の佳作がたくさん上映される時代とは違い、テレビで名作を見ることができた。

ヴィスコンティの『山猫』も『地獄に堕ちた勇者ども』も『ベニスに死す』も僕はテレビで見た。
その勢いで、『ルードヴィッヒ』を映画館に観に行き、お尻が痛いなか3時間も座って凝視した。

ホンネではまったく感動しなかったのだが、なんというか、あの世界観をつくりきる情念というか、美意識というか、欲望というか、どの作品にもそうした念のようなものが宿り尽くしており、あれらを20代前半までに見きっていて、本当によかったと思う。

ラジオで淀川長治さんが、熱く熱くヴィスコンティを語るのもよかった。そういえば、ヴィスコンティというよりも、ヨドチョーさんの紹介のほうが好きだったかもしれない。キューブリックの『2001年宇宙の旅』の魅力(冒頭の類人猿シーンをヨドチョーさんは10分以上に渡って語り尽くした)も、僕はヨドチョーさんに教えてもらった。★

ジトーっとした視線。これぞヴィスコンティ。