アップルの組織へ〜ツリー型からフラット型へ

 おっと、しまった、今週はプレゼンやらいろいろあって、もう土曜日だ。身体が健康になるにつれ、ブログが週一更新になってきた。
 でも、知人たちが言うには、ブログ更新は週一程度がいいらしい。週一程度でひとつのテーマについて少し掘り下げて書くことが効果的だという。ブログというものは、テーマをあまり掘り下げると、ネットという媒体では人は集中しにくいため最後まで読んでくれないのだそうだ。

 改行も頻繁に行ない、いくつかの段落ごとに一行あけ、中身の掘り下げ度もほどほどに1200字程度、更新も週一で、これが人気ブログの秘訣だとか。
 同じ文章でも、掘り下げ度や濃密度でははるかに本物の書籍のほうが濃い。僕みたいに昔の記者時代の癖が治らずブログに慣れていない人は、活字仕事時代のノリであまり改行せずぐいぐい掘り下げてしまうから、よほどの有名人でない限りはなかなか読んでもらえないブログになってしまう。

 そんなわけで今回は、NPO経営論の中での「組織」づくりについて書いてみよう。組織といっても、「もしドラ」みたいな組織行動/組織コミュニケーション論ではなく、ここでは組織体系/システム論のことだ。

 僕はバックボーンが哲学で、特にドゥルーズ好きのポストモダニストだったりするから、ドゥルーズ(とガタリ)が提唱する「リゾーム型」組織を本来ならば追求したい。
 けれども、リゾーム型はあまりにラディカルで現実の組織では使えない(リゾーム型とは、植物の茎のようにあちこちで交差するコミュニケーションをなかば放ったらかしにするかたち、だと思う)。
 だから僕が考えたのは、「フラット型」という組織体系だった。フラット型は代表的な人/機関を中心に、たとえば「人事」「財務」という機能/担当が円を描くようにくっついていく。
 これと対称的なのがいわゆる「ツリー型」で、クリスマスツリーのごとくトップのスター(社長、代表、監督……)から下にいくつも控える階層に向けて指令が流れていく組織だ。現代日本のほとんど組織がまだこの体系だという。

 それぞれのセクション(人事、財務、戦略、事業管理、渉外、企画、広報、ブランド戦略、総務、研修等々に分かれる)をさらに「主担」と「副担」に分かれて受け持つ。真ん中の代表と各セクション担当者のふたりが定期的に会議を開き、議題を提供、決定していく。

 これで来年のプラッツは決定! と思いつつぶらぶら本屋で雑誌を立ち読みしていたら、なんと、フラット型をワールドワイドにとっくに実践していた企業があった。
 それが、今回のタイトルにも書いた、あのアップルだった(アップルの各セクションはまさにワールドワイドだが)。亡きスティーブ・ジョブズは晩年の数年間はこの組織づくりに心血を注いだらしい。図(『Mac Fan3月号より』)のように、いくつかのセクション/機能を代表する上級副社長が真ん中のジョブズCEOを囲んでいる(ジョブズのすぐ上にある名前が今回CEOに就任したディム・クック)。

 さすがジョブズ、亡くなってからも僕に教えてくれるんだ。
 
 そんなわけでネタ元はアップルかもしれないが、フラット型は単純だけれども、かなり魅力的なかたちだ。
 この組織形態だと代表の決定権が過重になるという危険性があるのかもしれないが、たとえば予算いくらまでは各担当に任せるという具合にお金の額で判断と責任のラインを線引きすれば、細かい判断は各担当が行なうことになり、同時に「決定」の訓練にもなる(アップルではなくプラッツみたいな小さな組織の話です)。
 最終決定は代表が背負うものの、フラット型は各レベルごとの責任を意識させることができる。責任とは哲学的には、「他者との関係のあり方」をそれぞれの局面で負うことでもある。責任ないところには他者とのリアルな関係の構築はできないことから、決定/判断/責任をどのポジションの人がどのレベルまで負うのかをシステムとして決めておくことは重要だ。

 おっと、ブログとしては量的に書きすぎてしまったかな。
 でもまあ、今NPOを立ち上げ、少し経営が軌道に乗り始め、規模が拡大してくると(スタッフが3人→5人→8人といったわずかな人数の変化でも「組織」は違う運営方式を求める)、それなりにコーポレートを考える必要がある。
 コーポレートは、大きく分けて「組織」と「戦略」に分かれ、組織はさらに「コミュニケーション」と「システム」に分かれる。
 今回は後者の組織システムの話をしたのだが、規模の変化に伴う組織運営に悩む方々にとって、こうした議論が少しでも役に立てればうれしいです。★