強欲企業が強欲NPOを「喰う」〜新自由主義化こそが「平等」への現実的手段

新自由主義とリベラルの接近


新自由主義と、現代のリベラルの間に親和性が生まれているようだ。


つまりは、「富める者から富んでいく」現実主義(ex.78年以降の中国)が、資本主義と平等主義(リベラル)を接近させてきている。


それは皮肉なことに、結果として新自由主義を肯定することになる。効率的な資本主義の現実的あり方が新自由主義だからだ。


資本主義を先鋭化させ富めるものを顕在化させるには、そこから無駄を省き(小さな政府化)、多くを民営化させる思考に行き着く。


その無駄のない世界で富んでいく者の中に、リベラルな人々も入り込みたい。皮肉だが、「自分が先に富む」ために(その後で自分以外の多くを富ませるために)、このシンプルな新自由主義世界をリベラルが受け入れる。


■大手NPOの新自由主義への包摂と、大手企業による駆逐


アメリカ民主党内での超成功者(元大統領たち)の動きや誰もが知る投資家や財団トップの動きがこれで説明できる。


また日本においても、与党政治家はもちろん(野党政治家の存在感はゼロ)、中央官僚や(政令市官僚等も含む)アカデミズム・マスコミなどの多くが、平等主義を標榜しつつも新自由主義政策を支持する、という謎の現象もこれで説明できる。


そうした動き(平等主義を目指すために新自由主義による格差を容認する)の尖兵となっているのが、大手NPOでもある。


それら大手NPOはこれまで、新自由主義的保育改革(小規模民営化や病児保育)や新自由主義的労働改革(若者労働者の非正規化推進)を担ってきた。


だが最新の動きとしては、従来の大手NPO委託型からさらにウィングが拡大している。


それは、全国展開する塾や専門学校や人材派遣会社が「不登校支援」「ニート支援」(具体的には行政学習支援やサポステの受託)に乗り出し、大手NPOと競合している動きだ。


新自由主義とリベラルの接近により、教育や福祉を担う従来のリベラル組織やそれらが関わってきた分野は、以下のように新自由主義化している。


1.大手NPOの新自由主義政策への包摂


2.大手塾・専門学校・人材派遣会社による、リベラルNPOの駆逐


1が新自由主義とリベラルの接近の「ソーシャルセクター」業界での具体形、2が民間大手企業による対人支援業界(教育や福祉や就労支援)への本格的進出を示す。


■ 新自由主義化こそが『平等』への現実的手段である


現在は、1から2への移行期にあると思われる。


いっとき流行った「強欲資本主義」は、いわば「強欲リベラル資本主義」へと変節しつつある。


現代の「強欲」化はこれまで通り新自由主義のことではあるものの、それは平等主義と不思議なことに接近し、


「新自由主義化こそが『平等』への現実的手段である」


という強い思想に結実しつつあるようだ。


この思想は、ここ30年程度の歴史の積み重ねから導き出されたもののようだ。