たとえば「ニート専用特例子会社」〜12/15レイブル(後期ニート)就労検討会議@WTC

昨日12/15、午後すべてを使って、寒風吹きすさぶ大阪WTCビル(前橋下知事が府庁機能を一部移転させた)20階オフィスで、「レイブル」就労検討会議があった。
大阪の主だった若者就労支援機関(6サポステ+府のひきこもり支援事業を行うNPO+長年自立支援を行なう府内外のNPO等)が集まって、13時から18時まで延々討議し、そのあと打ち上げも22時頃まで続いたという(僕は体調上30分で中座したが)、ロングロング検討会議であった。

会議といっても、これは例の「ニート100人会議」を開催した民間NPO(トイボックス、スマイルスタイル)が運営するものだから、かなり今風というか2010年代の香りが漂う楽しいものだった。
主催者(大阪府)あいさつや行政説明などにも、音量は下げてはいるもののBGMが流れ、また席の配置も普通の長方形型ではなく小テーブルに分かれており、世間一般がイメージする「会議」とはかなり異なるものだった。

それら挨拶や事業説明が終わったあと、プラッツを含む関係団体が次々と事前に用意したそれぞれの提案を3分プレゼンし、そのあと「ワールドカフェ」の手法を用いてディスカッションが始まった。
社会人院生ながら阪大「臨床哲学」大学院出身の僕としては、哲学カフェには精通しているが、恥ずかしながら「ワールドカフェ」は初めて聞いた用語だった(ニート100人会議で初めて知った)。
カフェの形式としてはそれほど目新しいものはないものの、20分1セッション×3の時間枠の中、一グループ5〜6人がセッションのたびにテーブルを移動する。その過程で徐々に問いが明確化されていく。
問いとはつまり、「我々は企業に対してニートの雇用をどのように提案できるか」ということだ(僕がまとめるとどうしても哲学カフェ風になってしまうが、現実のワールドカフェはそれほど「概念」と「現実提案」を峻別しない)。


休憩中

















「ニート専用特例子会社」プレゼン中

















最終的に6つ出てきた提案の中で、僕が属したグループは、今回のタイトルに書いた、「ニート専用特例子会社」をつくり、そこと企業がウィンウィンでつながれないかというものだった。
企業からすれば、ニートの若者を雇用することは労働効率性の面でリスクが伴うだろう。かといって最低賃金の壁はすりぬける裏技(阪大社会学・井出先生のお話では、それらは「医師の診断」や「継続した雇用でないこと」等5つあるらしい)はあるというものの、やはり手続きが面倒だ。

そうなると、障害者専用の特例子会社が現在広がっているように、ニート専用の特例子会社があると企業もハードルが一気に下がるだろう。
この場合、企業には、障害者のような法的しばりがニートにはないことが、このシステム構築に躊躇するだろうという議論も出た。
その後、打ち上げの居酒屋では、この点に関して、ニート専用の派遣会社あるいは請負会社ができないだろうかという議論も出た。この場合、ニートの働き方管理と精神的ケアはその派遣会社が行なうから、企業の負担は減る。

念の為に書いておくと、ニート当事者自身が「生涯最低賃金を下回る賃金では困るけれども、就労初期は有給ボランティア程度でも十分OK」と考える方が多いということがこうした提案の背景にはある。つまり、当事者も企業も「プチ・ウィンウィン」というわけです。

いずれも、確か最低賃金の壁はクリアできると誰かが言っていたような……。臨床哲学出身(+基本的に一支援者)の僕としては、根本的な理念とシステム構築には全力で協力できるが、最低賃金等の現実問題にはからっきし弱い。
だが、この社会はすべては役割分担。それぞれが特異なことをパズルのピースをはめ込むようにして協力し合えばいいと思っている。

年明けにまた、この続きの会議があるようだ。今度はFM大阪で開かれるんだったっけ。僕が参加できればまたここで報告するし、参加できなければ別のかたちで報告しよう。
いずれにしろ、大阪がまた熱くなってきた。この感じは、ニートの概念が輸入される前後の2003年以来だ。

そういえばあの頃大阪でともに活動し、現在は法政大学で活躍されている樋口明彦准教授がこの日曜日に来阪されて、僕もセミナーでご一緒する予定だ。次回はそれを報告しよう。★