死と生命の渚〜初めてのハワイ〜


■もうひとつの顔をもつハワイ

みなさん、アロハ!! 日本では秋も深まり多くの方々は仕事に忙殺されていると思うが、僕はこの5日間のんびりハワイに行ってきた。
そこで、ここ最近の当ブログのテーマでもある「死と生」について、の〜んびり考えたので、簡単にブログっておこう。

下のyoutube動画でも僕が語っている通り、ハワイという土地は、日本で一般的に流通しているイメージとは違うもう一つの顔を明らかにもっていて、それは一言でいうと、「生と死のあいだ」にある領域だということだ。

陽気なVサインとともに、ハワイを語る。1分半と短いです。帰りのリムジンの車中で。リムジン、最高〜

これは沖縄にも共通する。海や水平線や半永久的に押し寄せる波にぐるっと囲まれている沖縄やハワイでは、現代社会が提供する「リゾート」的なものを超えた、生命の渚のような空気が時々漂う。
僕は特定の宗教を信じているわけではないものの、あえていうと、宗教(言語や文化)が成立するもっとずっと前からそうした「生命の渚」は我々地球の生命体を取り囲んでいると僕は想像している。

オアフ島北西部の景勝地。
こうした土地の地名は、土地が発するものを逆に邪魔すると僕は思う。

ハワイのフラ(ダンス)は、そうした「渚」において石器時代から延々と伝わるある種の「トーク」だとも思う。ゆっくりと身体全体を使って、身体の斜め上辺りに手を差し出す、そのポーズが印象的だ。

■生のサイドでポジティブに

こうした空気は、前回当ブログでとりあげた「エヴァQ」とは対極的な位置にあると僕は思う。
エヴァQは今も思春期に囚われ続け、それはある種の「自意識の奴隷」であり続けている。「エヴァ破」において、そうした思春期/自意識の奴隷から一歩抜け出し、エンタメ/他者の世界に踏み出そうとしたものの、数年たって結局元の思春期の奴隷に戻ってしまった。

思春期の奴隷状態から抜け出すには、エンタメという近現代的「他者」の世界という手がある。
どうせこの世界は自分が自意識でごちゃごちゃ悩む前にそもそも「他者ベース」なのだから、初めからそれを引き受け、他者の快楽の最大公約数的な作品を作ってしまおう、というわけだ。エヴァ破はその線の傑作だった。

だがもうひとつ手がある。それが、ハワイに表象される「生と死の渚」から始めるという手だ。そのエリアをとことん意識した上で、生のサイドでポジティブに生きていく(ことを提案する)方法だ。

アメリカドラマ「ロスト」の舞台。あの作品も「生と死の渚」がテーマだった。
評価は微妙だが、今回僕がハワイに行こうと思ったのは同作品の影響大。


■脳出血以来、ずっと

振り返ってみると、アメリカドラマ「ロスト」にはまったり、村上春樹作品をまた読み始めたり(たとえば『羊をめぐる冒険』があったhttp://toroo4ever.blogspot.jp/2012/10/blog-post_28.html)、ここ数ヶ月北海道や沖縄でこのような思索をしたり、ハワイに飛行機で9時間かけて行ったりと、最近の僕は、どうも「思春期の奴隷」でもなく「『他者』の世界」でもなく、もっともっと根源的な領域での人間の生き方について探求しているようだ。

その根源的領域、「生命と死の渚」の領域の代表がハワイなのであるが、これは振り返れば、2年前の夏に脳出血で倒れ、何とか生き延びることができて以来、ずっと探し求めていることなのだと思う。

オアフ島北側にウミガメの生息地があり、毎日野生のウミガメがヒトのそばで日光浴している。

そこに、僕の長年のテーマである、「人間と『他(者)』のコミュニケーション」が重なり、臨床哲学を学び終えた時点での結論的コミュニケーション論(僕の修論のテーマでもありました)だった「自我の前にそもそも『他』の領域があるのだからそこから始めよう」を超えた場所に僕はやってきつつあるのかもしれない。

そこはどうやら、「死を見つめつつ徹底的にポジティブである領域」のようだ。
何のためらいもない、ベタ〜な表現ではあるが、この領域を押さえきってしまうことが、青少年支援や、それだけに留まらないもっと幅広く仕事をしていくであろう50才以降の僕にとっては重要になっていくのだろうと直感している。

早朝のワイキキビーチ。ホテルから徒歩1分。


自意識でもなく、他者でもなく、それらすべてを包んだ「死と生の渚」。既成の学問も宗教も、ある意味「死」を一度通過した今の僕には響いてこない。すべてが小手先のように思えてならないから。

今こそ、自分が現実に見て出会って会話する、そうした日常の中から、自分の力で僕は生を切り開いていけるような気がしている。いやあ、病気から復活してよかったです。
ちょっと恥ずかしいけど、ハワイに行って以上のようなことをしみじみ感じたため、あえて記録しておきます。★

定番、ワイキキの夕日。これも宿泊ホテルの窓から。

わりと傑作のような気がする、パノラマ撮影したワイキキと僕。うまくこの迫力が伝わるかなあ。