モジュール化とブラックボックス〜子ども若者支援のスマイルカーブ

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もう来週ですね〜、「コミュニティーボール」でそれぞれの「ブラックボックス」を見つけよう(今回ブログ参照)!! 参加お申し込みは、office.donutstalk@gmail.com、へ


■モジュール化とブラックボックス

最近、事情があって、子ども若者支援における「居場所」支援というものをあらためて整理整頓し、原稿化する作業をコツコツ続けている。
居場所には、コミュニケーションと日常生活訓練とレクリェーションがあり、それらはさらに「会話/雑談」「ゲーム」(以上コミュニケーション)、「調理」「清掃」(以上日常生活訓練)、「買い物」「カラオケ」「スポーツ」等々(以上レクリェーション)に分かれるといった、いわば「スモールステップスケールver.4」(ver3はここhttp://toroo4ever.blogspot.jp/2012/09/ver30.html)も視野に入れた作業をしている。

その作業を通してあらためて気づいたことがあったので、今回は簡単にふれておこう。
それは、「居場所支援」の整理・言語化やスモールステップスケールづくりとは、子ども若者支援の「モジュール化」のための基礎作業であり、各施設はこうした「モジュール」を元にそれぞの団体の個性(ブラックボックス)を開発する必要があるということだ。



■2つのブラックボックス

これだけだとなんのことかわからないので、もう少し説明しよう。
上図(Googleで検索するとスマイルカーブだけで20くらい出てきたので、いちばん簡単そうなものをコピーしました)はいわゆる現代の電気産業等における「スマイルカーブ」の一例だが、子ども若者支援業界も、徐々にこうした方向性に近づいている。

電機産業では、モジュール化・規格化と、それにともなう水平分業化がすすんだため、たとえばパソコンは単なる組立製品になってしまった。その中の各部品はモジュール化し、各会社がより安く作れる国で大量に製造している。

ただ、その各モジュールの中にある最小限ユニット的製品は一部の会社(インテル等)が独占販売する。ここが第一のブラックボックス(カーブの左上)だ。
第二のブラックボックスは、スマイルカーブの右上にあり、たとえばアップルのiTunesシステムのように、いったんその便利さに囲い込まれてしまうと、なかなかそこから出ることはできない。

人によっては僕のように、日常生活の半分はアップルとともに過ごすということにもなり、まあそれはそれで快適なものの、この「そのシステムから抜け出せない」という状態は、システムとしてのブラックボックスといってもいいだろう。

■居場所の仕事は誰でもできる

子ども若者支援の場合、まだモジュール化の途上だ。モジュールはたとえば、各行政やNPOが取り組んでいるであろう種々のマニュアル(訪問や就労等)や、僕のスモールステップスケールなどがある。

たとえば「居場所」支援なども、普通の支援者的「人柄」さえあれば、居場所モジュール的マニュアルに則って動けば誰でもできる仕事だと、極論かもしれないが僕は思う。
居場所モジュール(スモールステップスケールや◯◯マニュアル)に則っとり、プラス「いい人」や「笑顔がさわやかな人」であれば、誰でもできる仕事なのだ、「居場所」とは。

訪問支援や就労支援にしても同じだろう。一定のモジュールに則っていれば、誰でもできる仕事だ。
訪問はそうではないという反論があるかもしれないが、たとえば「二人以上で訪問」「訪問支援チームを結成」等の諸条件(これがモジュール化)がそろえば、おそらく誰でもできる。

専門資格は、そうしたモジュールを形成する部品の一つであってもいいし、僕などは別になくてもいいと思うが、社会制度的にはそうもいかないだろう。そのときは、モジュールの中に「資格」が入ることになる。

■インテルかアップルか

僕ががんばって取り組んできた「スモールステップスケール」も、モジュール化の一つの流れの中にある。
ポイントは、やがて諸モジュールが完成した後、各団体がどこに自分たちの「ブラックボックス」を置くか、だ。

製造過程は秘密ではあるが効果は抜群(インテル)的ブラックボックスか、あるいは緻密に構成された網の目がそのシステム以外の使用を諦めさせる(アップル)的ブラックボックスか。

このように、業界全体としてモジュール化を推し進めつつ、同時に各団体がブラックボックスを確立する。こうした競争が、業界全体のレベルを押し上げていくだろう。
僕個人は淡路プラッツを3月で退職するものの、生まれたばかりの一般社団法人として「officeドーナツトーク」を4月からスタートさせるつもりだ。

このとき、ドーナツトークの「ブラックボックス」をどこに形成するか、日夜構想を練るのが最近の楽しみになってきている。★