テーマとソーシャル〜「オルタナティブNPOとシェアNPO」論

★3/16イベント「NPOユースカフェ」@クレオ大阪中央(詳しい情報はここ)、参加者募集中!! 今回のブログにあるように、このイベントは、現代の「ソーシャルセクター」を考えるものでもあります。

■また出た!! オルタナティブとシェア

僕は半年以上にわたって、「オルタナティブNPO」や「シェアNPO」、あるいは「Z世代」や「公共性」といったキーワードを切り口に、日本の新しいソーシャルセクター/サードセクターについて考え続けている(ここ等参照http://toroo4ever.blogspot.jp/2013/01/3npo.html)。

というのも僕が20代の頃、何度も繰り返して申し訳ないけれども「さいろ社(http://www.sairosha.com/)」という医療問題系出版社の起業を手伝い、多くの患者団体や市民運動団体と接してきた体験をもっており、そうしたいわゆる「市民目線」の動きにはずっと関心を抱き続けてきたからだ。

懐かしや〜、『四つの死亡時刻』さいろ社


いま振り返ると、僕が淡路プラッツに関わったことも、そのような「市民運動」の取材の流れとして関わってきたと思う。
90年代前半、「不登校」問題が湧き上がり(メディアの雰囲気としては現在の「いじめ」「自殺」に近い)、当時「登校拒否」と名付けられていた学校に行かない現象が、あっという間に「不登校」に変わってしまった。

それらの一連の動きには、不登校の子を持つ親の運動や、そうした子どもが通う「フリースクール」の運動なども大きな役割をもった。僕が所属していたミニ出版社の動きなども、登校拒否→不登校への言い換えに寄与したと思っている。

それら一連の運動団体は当時はまとめて「市民運動」と呼ばれていた、というか、それ以外に呼び方はなかった。
現実として、70年代の市民運動とは徐々に違う動きになっていたとはいえ、市民が行なう「ソーシャル」な活動という意味で、それらは「市民運動」のひとつとして捉えられたと思う。

■「テーマ=目的、NPOという法人化=手段」は、活動の長い団体

阪神大震災後、98年にNPO法が成立し、それら「市民運動」あるいは「市民団体」は徐々にNPOへと姿を変えていった。
その流れの中に、淡路プラッツやフレンドスペースや東京シューレのような不登校・ひきこもり支援団体も含まれると思う。

そうしたNPO第一世代の多くは、今から振り返ると、不登校等の明確な「テーマ」を持っていたのではないか。
僕は教育分野以外は知らないのでこれから調べないといけないのだが、NPO法ができた当時は、それまで多くが任意団体に過ぎなかった諸団体が、いわば「格付け」のためにNPO取得に走ったのではないかと思っている。

それら諸団体にとって、自分たちが直面している問題(たとえば不登校等)の解決が第一であり、その問題の解決のために「NPO」という器を借りてきた。NPOという器があれば、行政とも協働しやすいし、問題や団体に対する社会的認知度も高まる。
言い換えると、目の前の「テーマ」の解決という目的のために、NPOという手段を選んだということになる。

この、「テーマ=目的、NPOという法人化=手段」という図式が、長い期間にわたって自主活動を耐え忍び、時代の流れに乗って当時NPOを取得した多くの団体がもつ事情だったのでは、と思う。

■目的と手段

この、80年代(70年代も?)より自主活動を地道に展開しながら98年以降の数年間にNPOを取得した諸団体を、僕はこれまで「オルタナティブNPO」と呼んできた。
このオルタナティブNPOは、おそらく、「テーマ」が先で「ソーシャル」はあとからついてくるものという価値を持っているのではないだろうか。
対して、当ブログで「シェアNPO」と呼んできた団塊ジュニア以降がつくるNPOは、明らかにソーシャルが先(目的)で、「テーマ」はあとからついていくるもの(手段)だろう。

わかりやすいところでは、たとえば大学中退に取り組むNEW VERY(http://www.newvery.jp/)というNPOは、確か僕が10年前に代表の方とお会いしたときは「オールニートニッポン」というおもしろいネットラジオ番組を展開しており、僕はその最初のほうのゲストとして呼ばれた。
それがここ数年、大学中退予防問題にテーマを移行し、大きな成果を上げつつある。

また、いつも例にあげるNPOしゃらく(http://www.123kobe.com/)は、高齢者の旅行付き添いサービスも他のNPOへの中間支援もまったく同じ目線で行なっている。
これらは、21世紀の日本社会に貢献するという社会的(ソーシャルな)目的が先にあり、各団体が行なう実際の事業は、ネットラジオだろうが大学中退予防だろうが高齢者旅行付き添いだろうが中間支援だろうが、すべては目的(社会貢献)のための手段にすぎない。

ここが、オルタナティブ世代とシェア世代以降の最大の違いだと僕は思う。
ポイントは、この「世代」は、スタッフ個人の世代というよりは、団体そのものの歴史を背景にした世代といったほうがわかりやすいということだ。

以上を簡単な表にすると……


オルタナティブNPO
シェアNPO
目的
テーマ(課題解決)
ソーシャル(社会貢献)
手段
ソーシャル……NPO法人化を通した社会(ソーシャル)化
テーマ……不登校、高齢者旅行付き添い、ネットラジオ、大学中退予防等








やっぱ物事、しぶとくこだわると、ゆっくりとだが光が見えてきますね〜★