大学非常勤講師という「となりカフェ」



一般社団法人officeドーナツトーク公式ミニHP
Yahoo!ニュース個人『子ども若者論のドーナツトーク』



■意外と忙しい〜

この4月にプラッツから無事独立し、一般社団法人officeドーナツトークとして活動し始めた。officeドーナツトークは僕を含めて2人の小さな団体で、「困難を抱える子ども若者に関して、支援システム・人材育成等のイノベーションを提案する 」をミッションとして、子ども若者や保護者への直接支援、NPO等のソーシャルセクターに対する戦略相談等の間接支援を二本柱として活動する。

連絡は、上の「一般社団法人officeドーナツトーク公式ミニHP」からでもチェックできるが、ここにも一応書いておこう。
メールは、office.donutstalk@gmail.com
電話は、070-5663-8606(火〜土、10:00〜17:00)

170人の学生に講義した2回目授業終了後の大教室風景
時間をかけて「感想カード」に記入する方も


とかなんとか言いながらも、独立したばかりの4〜5月は暇だろう、お金は心配だけれどもぼちぼちやればいいや、くらいにのんびり構えていたのだが、意外とこれが忙しい〜!!
すでにいくつかのNPOに定期的に関わるようになっているし、縁あって、京都精華大学というところで、人生初めての「大学非常勤講師」を務めることになったのだ!!

■「こころと思想」

今回のブログを書いている今日は4月18日で、今まで2回授業した。授業名は、「こころと思想」といって、僕がこれまで講演のネタにしてきたひきこもりやニート支援でもなく、また最近得意にしつつあったNPO等のソーシャルセクターを考えるものでもなく、もちろんアニメネタでもなく(当たり前か)、もろ哲学系の授業なのであった。

いつかはこんなご依頼がくるのだろうなあと漠然と思っていたのだが、3月にご依頼があってから今月になって実際授業が始まってみると、たいへん喜ばしいものがある。
大阪大学大学院「臨床哲学」で鷲田先生・中岡先生・本間先生に学び、尊敬できる諸先輩方にアドバイスいただきいつのまにか10年たったが、こうして僕が実際に大学生相手に「講義」できるとは。

と、しみじみしていたのも最初の10分だけ、実際授業が始まると、予想通りエキサイティングな時間を過ごしている。
当ブログや上Yahoo!ニュースでも最近批評している『絶望の国の幸福な若者たち』をまずは題材にしながら、1990年以降の日本の青少年論壇をジャンルをすべてまたいでとりあげるつもりだ。

で、2回授業してみての感想なのだが、とにかく学生のみなさんが真面目に聞いてくれるのだなあ、これが。

■170名!!

1回目は履修登録前だったので100名が聴講、 2回目から授業本番が始まったが、これがなんと170名にまで膨らんでいた。

僕もひきこもりやニートネタでよく講演はするものの、170人も集まることは年に1回程度なので最初は超気合ものだったが、始まってみると、学生のみなさんの真摯さに、こちらの緊張など吹き飛んでしまい、古市氏の言う「希望」と「幸福」の区別、そしてそこに潜む「ルサンチマン」について、僕なりに一生懸命に語った。

知識をそのまま伝えるスタイルはできるだけ避け、昔、ウィトゲンシュタインの伝記で読んだ、「講師自身が必死で考えながら進める」スタイルを意識しつつ、板書するのも忘れて語っている(僕は通常の講演では鬼のように板書する)。
思い起こせば、そういえば鷲田先生もこんなスタイルだった。

授業が終わったあとの感想カードも多くがびっしりと書かれていて、その真摯さに胸を打たれたものもあった。何かを求めて、学生のみなさんはここに来ているんだなあとわかる言葉が並んでいる。

まだ2回しか授業しておらず、中身はこれから進化させていくのだけれども、感想カードから読み取れる「求めている何か」に応えることができるような工夫をしてみたいと思っている。
工夫といってもたいしたことではないが、たとえば授業の枠内で即席「哲学カフェ」あるいは「となりカフェ」ができないかと目論んでいるのだ。

■「イバショ」的授業

10年前、パリの本間先生を訪ねた時、先生は本場の哲学カフェに連れて行ってくれた。日本での哲学カフェと違い、僕が体験したパリ版(というか本場ですね)は、参加者とファシリテーターがマイクをやりとりして交互に発言していた。
単なる質疑応答といえばそれまでなのだが、マイクを利用した哲学カフェがあってもいいということを僕は知った。

また、昨年府立西成高校で展開した「となりカフェ」では、本当に拠点を設置してそこでカフェ的居場所を運営した。当然大学の授業でそこまでは無理だけれども、そのような「居場所」テーストを授業に持ち込む工夫も考えてみたい。やはりヒントは哲学カフェになるだろう。

僕が思うに、日本に増殖している非常勤講師たちが、このような「哲学カフェ」的授業、あるいは「となりカフェ」的授業、言い換えると、「イバショ」的授業をそれぞれ創意工夫していけば、大学はもっとおもしろくなるのではないだろうか。
それが結局は、大学非常勤講師の待遇アップと、大学生の中退予防にもつながる気もする。そして、それぞれの工夫した授業の発表の場を設けるのもおもしろいような……。

いろいろ発見と気付きのある体験なので、随時報告していきます〜★