ミッションと「弱いつながり」〜5/11officeドーナツトーク・キックオフ!!



一般社団法人officeドーナツトーク公式ミニHP「まのまトーク② 魔法の言葉 自己責任」
Yahoo!ニュース個人「子ども若者論のドーナツトーク」アムロは最後にみんなを助けた~発達障がいと「ニュータイプ」2


■ドーナツトークのミッション

5/11、「キックオフ」イベント(設立式のことがいつからかこんなふうに呼ばれている〜昭和な僕は知らなかったです)を定員を越えたため2部入れ替え制で終え、一般社団法人officeドーナツトークが正式に無事スタートすることができた。

結構盛り上がったキックオフイベント。
その最中は写真を撮り忘れたので、イベント後のドーナツの食べ残しをとりあえず。
今回ブログはミッション解説ですが、同イベントでは他ジャンルとのコラボのヒントをもらいました。


ドーナツトークのミッションは、「困難を抱える子ども若者に関して、支援システム・人材育成等のイノベーションを提案する」だ。
具体的には、直接支援と間接支援のイノベーションがある。

直接支援については、たとえば、高校中退予防に関する取り組み、「スモールステップ支援」のバージョンアップ、現代社会に見合った自立支援法の活用等を通して、子ども若者分野の潜在的マイノリティへの支援を行なう。

間接支援は、これまで「中間支援」と呼ばれているジャンルだが、これではイマイチ意味不明なため、「NPO支援」と言い換えていきたい。
子ども若者支援を行なうNPOに対して、a.子ども若者分野の「支援コンサルティング」と、b.「経営/運営コンサルティング」を行なう。
この間接(中間)支援を英訳すると「インキュベーション」となり、ドーナツトークのリーフレットのコピーや名刺などで使われている。

aの支援コンサルティングは言い換えると「スーパーバイズ」であり、bの経営コンサルとは区別する必要がある。
経営コンサルは大きく分けて3つあり、ⅰ.ミッションの確認、ⅱ.「組織」の創設・確認、ⅲ.「戦略」の創設・確認だ。戦略は、「全体(戦略)」「コーポレイト機能別(広報や人事)戦略」「事業戦略」の3つのオーダー(階層)がある。

何か経営教科書みたいになってきたので、そのついでにざくっとまとめると、こんなふうになる。

■ミッション、組織、戦略

□直接支援
・自主事業や委託事業等のなかで直接的に子ども・若者を支援する。ここに「となりカフェ」なども含まれる。

□間接支援/NPO支援
・支援コンサルティング……支援内容のアドバイス
・経営/運営コンサルティング
 ⅰ.ミッションの確認
 ⅱ.組織……法人「全体」(代表と各理事のあり方、ピラミッド型かフラット型か等)、コーポレート「機能別」、各「事業」の3オーダーを検討する。
 ⅲ.戦略……法人全体、広報・人事・財務(目先の会計事務ではなく数年単位の財務戦略のこと)等の機能別、各事業ごとの3オーダーに分かれる。

忘れがちだが意外と重用なのが「ミッションの確認」で、古いNPOになればなるほど、曖昧なミッションが多く、この曖昧さが、NPOの事業規模の拡大時に法人全体の統率感を欠くようになってくる。
ついでに、こうしたミッションがよって立つ「ビジョン(社会や世界の見方)」も言語化し、そうしたビジョンのもと、当初のミッションを時代にあったものに焼き直していくことも、社会貢献前線プレーヤーのNPOには欠かせない。

このような過程のなかで、普通の「社会福祉」「教育」「自然保護」等の団体なのか、大きなビジョンと理想的なミッションに支えられたNPOなのかの区別もはっきりとする。

多くの場合、目の前の諸課題に対応するために創設されたNPOが多く、事業規模が小さい場合はあまり問題はないのだが、規模が大きくなると(当初の課題を解決するだけのシステムが創設されると)、そのままその課題に向き合うだけの団体でいるのか、大きなミッションに従って(たとえば「少子高齢社会のなかでの子ども・若者の幸福」といったような理念的ミッション)事業の幅や規模を拡大していくことになる。

■弱いつながりweak ties

日本のNPOは47,000を越え、そのうち2割程度が「事業型」と言われている。この 2割の事業型NPOに上のような問題が生じていると僕は推測している。
また、「行政の補完機関」としての色合いが強い日本のNPOは、これからも今以上に、行政事業を委託されて行なうようになるだろう。

そうなると、事業型NPOはどんどん増加していく。事業規模が拡大し始めると、ソーシャルセクターを代表するNPOといえども、上のような経営や組織の問題は普通の会社のように噴出するはずだ。

僕個人としては、『僕たちの前途』(講談社)で古市憲寿氏が示唆していたように、少人数(3〜5人程度)の法人が短期間(1〜2年程度)の事業ごとにコラボレーションしたり、大企業/行政の補充を「ウィンウィン」で行なったりすることに賛成だ。
このようななかで、日本のNPOが担わされている「行政の下請け機関(今のところそのような意味でnon-profitが使われているような……)」色を各NPOに意識してもらい、「下請け」ではなくNPOこそが「ソーシャルセクター」の雄なのだということをその都度確認していきたい。

が、職員を雇用し、食べることに必死になってくると、NPOは「下請け」か、あるいは第2株式会社化していく。あるいは、フツーの社会福祉・教育団体か。
真のソーシャルセクターは日本にはまだ限りなく少ないと僕は思っている。

2010年代以降の組織は、基本的に少人数で身軽な「弱いつながりweak ties」を元にコラボレーションしていくことになると、アメリカの社会学では予言されており、僕も基本的には、officeドーナツトークをこのような組織にしていこうと思っている。

ミッションの下位概念である「行動指針」については次回以降!!★