代表病〜①ついスピーチしてしまう

■officeドーナツトーク・公式HPがついにオープン!!

■「代表病」

最近、officeドーナツトークの仕事のペースがやっとつかめてきて、1週間の動きも固定し始めた。
ドーナツトーク事務所での支援の仕事や大学非常勤講師の仕事とは別に、いくつかのNPOをお手伝いする仕事も行なっている。

その仕事は、いわばNPO等のソーシャルセクターを支援する仕事でもあるので当然守秘義務が生じるから、具体的なことは書けない。が、そうした仕事を通じて僕自身に関するテーマに関して気づいたことであれば、一般性に話題を広げつつ、差し支えない範囲であれば書いてもいいだろう。

「哲学者になる」ではさすがにスピーチはセーブできた。
写真は、哲学者になる@広島。


新しく自分の事務所を立ち上げ仕事の内容も微妙に変化してきたなかで気づいたことのひとつに、なんというか「代表病」みたいなものがある。
僕は、10年間、老舗青少年支援NPOの代表業をめちゃくちゃな多忙ペースでこなしてきたせいか、自分で予想していたよりも「NPO代表」的仕草が染み付いてしまっている。

そのひとつに「すぐスピーチしてしまう」というものがあり、この癖が、現在の「ソーシャルセクター支援」が円滑に展開していくことを押しとどめてしまう。
具体的には、ソーシャルセクターの人たちの自主性の芽を、僕のスピーチが摘んでしまうのだ。

■スピーチを求められた

特にこの2年ほどは、僕の仕事は外向けのアドボカシー(当事者の権利擁護と関係事業の獲得)仕事が増えていた。同時に大阪府が委託運営する大きめの仕事を通して、たとえばFM番組に出演したり、普通のホールでのイベントに出演したりと、お声がかかるままにそうした仕事をこなしてきた。

また、自分の法人内においても、僕の仕事はどちらかといえば、スタッフの方々向けのスピーチや仕事の意味付け等が増えていった。
これに加えて、従来の委託事業プレゼン等も加わり、仕事の半分以上は「ここぞという場面でのスピーチ」を求められることが常態化していた。

元々僕は、阪大の臨床哲学を学ぶ以前から、「司会業」がどちらかといえば得意だった。テーマを提示し、話があまり散漫にならないように統御し、かといってそれなりに発言者の個性を演出し、それなりの結論に至る。
このような演出が求められる局面はわりあい多く、田原総一朗級に司会者の個性を出すことは抑えつつも、それなりの演出をしながら発言者たちに目立ってもらう……こうした仕事に僕はずいぶん快を感じていたものだ。

が、脳出血からの生還後、所属NPOの経営規模が拡大したことと同時進行するように、司会業的仕事が減っていった。代わりに求められたのが、「気のきいたスピーチ」系の仕事だった。言い換えると、ザッツ代表スピーチだった。

■「主体的快」の前にある、「コミュニケーションの快」

はじめは恥ずかしかった。が、慣れてしまうと元々目立ちたがりやのため、楽しくなってきた。FMラジオに出演した頃になると、まったく緊張もしなくなり、好き勝手なことを言ってもそれほどチェックもされないし、徐々に「ひとり語りの愉悦」のようなものに目覚めていった。

これに加えて、4月から始めている、大学非常勤講師の仕事も「スピーチの愉悦」を後押ししたのかもしれない。なにしろ、90分延々しゃべってなんぼの仕事なんだから。

けれども、一方的に語ること、教えることには、当然「権力構造」がつきまとう。ひとことで言って、「スピーチや教えること=権力」なのだ(フーコーのいうように、「一方的に聞くこと」も権力なのであるが、教えることの権力性は単純でわかりやすい)。

教えることを引き受けた時からその権力性とのつきあいの仕方を僕はずっと考えているが、その大学非常勤講師の仕事も前期のみのためあと5〜6回で終わる。

が、「スピーチ」は気をつけないとこれからも頻繁に顔を出すだろう。そして、officeドーナツトークの仕事では、毎回毎回僕のスピーチは求められない。むしろスピーチが、クライエントのみなさんの自主性を摘んでしまうことになる。

先日のコンサル仕事では、そのことに途中で気づき、がんばって方針転換して、昔の「司会業」を取り戻すことができた。
やはり、司会をこなしながら、参加者が自主的に自分の言葉で話しだすのを見ることは楽しい。スピーチの「主体的楽しさ」に対して、司会業には「コミュニケーション(他者とのやりとり)の楽しさ」がある。

そもそも僕は、そのような他者とのやりとりに秘められている根源的楽しさ・快を明らかにするために阪大の臨床哲学に入ったのだった。そのことを、最近はよく思い出す。
「主体的快」の前に、「コミュニケーションの快」がある。これを実践すべく、ここ数年のスピーチ癖をやめようと思う(またスピーチしてると気づいた方は、容赦なくご指摘を!!)★



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