残された潜在性〜軽度知的障がい

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■行動指針「潜在性のアプローチ」

officeドーナツトークの行動指針のひとつめは「潜在性のアプローチ」だ。
その方針に基づき、ハイティーンのひきこもり予備軍に対応するため「高校中退予防事業」に取り組む。これは、主として年齢別にみた潜在性へのアプローチとなる。

また、地域的な潜在性もここには含まれ、生活保護受給率全国一位(4人に1人)といわれる大阪市西成区への問題に我々として取り組むため、府立西成高校で事業をさせていただいている。

地域的な潜在性は大阪市南部全体も指し、その点から大阪市住吉区の単独事業「住吉区子ども若者サポートシステム(通称)」を展開している。
住吉区では、補助金事業で「居場所」を行なうことにもなった(近々報告します)。

ほかにも地域的な潜在性の問題に対してアプローチするため、いくつか企画提案している。

これらはいずれも、すべてミッションの下位方針にあたる「行動指針」のひとつ「潜在性のアプローチ」に基いて行動している。
このように僕は、規模は小さくとも、「ビジョン→ミッション→行動指針→2〜3年戦略→当年度アクションプラン」という、ソーシャルセクターらしい動きを実践するためにofficeドーナツトークを設立した。

■ひきこもりやニートとして扱われ、さらに発見が遅れる

その「潜在性」の、残された対象領域があると僕は考え、そこにどう切り込むか、本格的に考え始めた。
それは、「軽度知的障がい」の方に対する、社会参加に向けてのロードマップづくりだ。

もしも、ロードマップがすでにあるとしたら(あることを願う)、それを参考にし紹介していきたいので、教えてほしい。
この頃僕は、子ども若者支援論についてはサボり気味なので、そうであることを願う。

が、いろいろな仕事で出会う、軽度知的障がいの方への専門家の姿勢をみていると、まだまだそれは焦点化できていないようにも思う。
それは、10代前半までに顕在化のチャンスにめぐりあうものの、専門家も含む大人たちの未対応から、10代後半には潜在化していき、なかにはひきこもりやニートとして扱われ、当事者が抱く苦しみは放置されたまま、人によっては軽犯罪を繰り返しているのでは? と僕は考える。

当事者は、知的にわずかなハンデがあるが外見的には判別しにくいことも合わせて、普通の大人(教師やカウンセラー含む)からは、単に「やっかいなやつ」「トラブルメーカー」として扱われる。

これが、中学まではなんとか学校や専門機関でフォローされる場合もあるが、年齢を重ねるにつれ、当事者をめぐる「網の目」が徐々に荒くなってくる。
また、人とも合わなくなるため(逆にいうとひきこもりやニートになるため)、目立ったトラブルも起こさない。
が、当事者の「社会への理解のされなさ」はなんら変化することなく潜在化して継続し、人によっては軽度の犯罪(窃盗等)や性犯罪(これも窃盗等)を繰り返すことになる。

報道等では(たとえばこんな記事参照http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/bookreview/12/index1.html)目にするものの、普通の人からすると、実際に目の前から彼ら彼女らは消えていく(潜在化していく)ため、正面から取り上げなくなる。
臭いものに蓋をする文化である日本の場合、なおさらだ。

■「発見のセンス」

こうした問題は、専門家のなかにも深刻に横たわる。特に、臨床心理学の上辺だけを学んだ若手の人々にそれはあるかもしれない。
資格的には専門職かもしれないが、発達障がいの知見があまりない若手のカウンセラーは全国的に少なくないだろう。

ベテランの臨床心理士(福祉的観点ももつ)や福祉職は、これら経験と知識が浅い若手専門職をやさしく指導していかなければいけない。

また、これは、もしかすると、学問的問題というよりは「発見のセンス」の問題かもしれない、と僕は思う。
トラブルを頻発して周りに迷惑をかけるがその内面では異常なほどの孤独をかかえる「潜在化していく当事者(軽度知的障がい者)」に対して、どれだけの想像力を働かせることが我々にはできるのか。

僕もできているとは胸は張れない。けれども、10代のうちのはやめの「発見」と対応が、軽犯罪を繰り返すかもしれないその後の当事者の人生を別のものに変えることはできる。

特に、現在全国に展開される若者支援において、ニートの自立支援と称しながら「発見」を遅らせることには注意しなければいけない。★