なぜマネジメントの話にたどりつけないのか 

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■Twitterで事業マネジメントの話

昨日(8/8)、NPO法人しゃらく小嶋さんのコーディネートで「神戸の社会起業家育成シリーズ/子ども・若者の自立サポートを仕事にする」(http://ikisapo.com/next/2013/06/11/kobe-sb2/)というイベント(NPO法人・神戸オレンジの会代表の藤本圭光さんも登壇)が行なわれ、平日夜にもかかわらず30人ほどの方が集まり、子ども若者支援や社会企業等について熱いトークが交わされた。



藤本さん(左)、しゃらく小嶋さん(右)
また、先週あたりから僕は、Twitterで「NPO等のソーシャルセクターは『事業マネージャー』を育成しなければいけない」という点について語り始めている。
書き込みはFacebookとも連動させており、「いいね!」数はそれほど伸びていないものの、会う人ごとに「読んでますよ! マネジメント論」と話しかけられるので、だんだんやりがいがでてきた。

ここでは、これまでの書き込みやイベントで話したことをまとめ、タイトルにあるように、「マネジメントがテーマのはずなのに、なぜか『支援の現場』話に引き摺られてしまうこと」についてメモしておきたい。

■マネジメントの3オーダー

NPO等のソーシャルセクターのマネジメントを、僕は以下の3オーダー(階層)に区別する。

①法人マネジメント
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②機能別マネジメント
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③事業マネジメント

①はその法人をすべて統括する視点で、普通は法人の代表理事が行なう。外部理事や法人内「参謀」が力を持っている場合はそれらの見解も反映されるが、僕は、NPOといえども民間なのだから、できるだけ代表理事に権限を集中することがある意味資本主義らしいと思う(経営に失敗すれば数年で交代すればいい)。

②は、人事、財務、広報等がある。財務は「会計事務」ではなく、財務戦略と年間アクションプランの財務面からのチェックを行なう。日本の場合は、日々の事務的会計事務や事業内会計を財務のメイン仕事だと位置づけているようだが、会計事務は、財務マネジメントの一セクションにすぎない。

③がNPO等のソーシャルセクターが「現場」で行なう本来業務であり、a.自主事業、b.行政委託事業と助成金事業、c.寄付事業の三本柱に分かれる。けれども、寄付事業は日本ではなかなか根付かないと僕は諦めている(あと、外国人労働者も難しいだろう。これはビジネスの問題ではなく文化と歴史の問題だ)。

そして、この3番目の事業マネジメントを統括する「事業マネージャー」をいかに育成していくかということが、これからのソーシャルセクターのカギを握ると僕は思う。

■広大な範囲のマネジメント

ブログをあまり長く書いても誰も読んでくれないから手短に書くと、事業マネージャーの養成は実際に事業を任せるのが手っ取り早い。
事業は、予算規模で言うと、100万円、300万円、500万円、1000万円、1500万円、3000万円、5000万円と広がっていくだろうが、はじめは100万円くらいの事業を任せるといいと思う。

予算規模100万円でもやることは多い。それは、利用者管理(サービス受益者〜ニート支援であれば当事者と保護者の支援と顧客管理)、スタッフ管理、会計事務、広報、アドボカシー(①同業他社・他ジャンルだが有望団体の2種類のお付き合い、②来年度に向けての事業獲得活動、がある)等々がある。

100万円規模でも、きちんとやり始めるとそれぞれ奥が深く、事業マネージャーはへとへとになるのだが、これに加え、普通は「現場(青少年ジャンルであれば支援活動)」の仕事も同時に行なっている。
だから、事業マネージャーへのケアをその上のマネージャー(人事マネージャーや法人マネージャー〈代表理事〉)が行なわないと、事業マネージャーは鬱になるか「下」のスタッフがとばっちりを受ける(怒鳴られたりいじめられる)。

■マネジメントトークが、現場トークに変化する

事業は、事業マネージャーと法人マネージャー/代表理事がいっしょになって「事業のコンセプト」づくりから始めるのが望ましい。
そのできあがったコンセプトを、他の機能別マネージャー(広報や財務等)に説明し、他の法人内にある既存の事業マネージャーに説明し、新事業に予定するスタッフに説明・シェァしていくことも、事業マネージャーの訓練となる。

このとき、「事業コンセプト」がしっかりしていればスタッフもついてきてくれる。つまり事業のコンセプトは、法人のミッションと同じくらい重要なのだ。

僕がいま関心あるのは、以上のようなことをディスカッションしていても、多くの場合「現場」の諸関心に焦点が移ってしまうということだ。
言い換えると、「マネジメント」トークが、いつのまにか「支援論」や「スーパーバイズ」や「支援の仕組みづくり」に移行してしまう。

マネジメントは上に書いたように幅広い。俯瞰的であり、常に「メタレベル」であることを求められる。
ところが、ソーシャルセクターのスタッフと話していると、俯瞰的高みからすぐに降りてきて、法人内の一セクションの話になってしまう。
一セクションの話題とはほとんどの場合、上に書いたように、「支援論」「スーパーバイズ」「支援の仕組みづくり」だ。

■現場トークが勝つ理由〜目の前の課題解決型NPOばかりのため

事業マネジメントの仕事からすると、これら支援に関する事柄は、「利用者管理」のなかの「支援の方法論」であり、「スタッフ管理」の中の「専門職の位置づけ」にしかすぎない。

上に書いたように、事業マネジメントはそれらも含んだ広大な分野を統括していく必要がある。支援の方法論や専門職の位置づけは重要ではあるが、それはたとえば一般の製造業でたとえると、商品開発と制作現場の組み換えの話題だ。

当然であるが、よい商品をつくっても売れるわけはなく、社員の労務管理・広報・会計事務等々、すべてを統括してこそ、売上アップにつながる(ソーシャルセクターの場合、法人に対する好評価と次年度事業の継続)。

が、なぜかソーシャルセクターでは、「現場」トークが事業マネジメントトークに混入し、現場トークのほうが勝ってしまう。
なぜだろうか。

僕はいまのところは、日本のソーシャルセクターは「ミッション」「戦略」が極端に弱く、以前のこのブログ(①目の前の課題解決型、②社会起業家型、③社会変革型、④仕方なく型〜4つのNPOタイプ )で書いた「目の前の課題解決型」NPOが圧倒的に多いから、という点がその理由なのだと思っている。
この場合、ソーシャルセクターにこだわる必要はなく、むしろ混乱を避けるために既存の社会福祉法人や医療法人に特化したほうがいい(その意味で、これからの日本では、47000にまで拡大したNPO数が減少するかもしれない)。

また、②の社会起業家型の存在もあなどれず、社会的問題がちょっとでもかぶっていればジャンルはなんでもいいというのでは、やはりミッションは弱い(戦略は強いかもしれない)。
この場合、目の前の課題解決型とは異なり、目の前の課題(たとえばニート支援)は他に置き換え可能だから、先ほどの民間企業の例で言うと、逆に商品開発や制作現場のくふうが弱くなってしまう。
②は、15年前ならば、IT分野に行っていてもおかしくない人たちだと僕は思う。

ありゃ〜、結局長くなった。ここまで読んでいただいた人には感謝します。機会をみて、継続的にこのテーマは論じるつもり。ページトップにある、僕のTwitterもチェックしていただければ幸いです。★