大きなNPOは解散しよう


仕事第一主義から(気分だけは)降りた

以下は、ソーシャルセクター/NPOの組織論。一般の組織論ではないのでご注意くださいね。

「オフィスに同時刻に集まって仕事開始」は、出勤ストレスを考えるとデメリットのほうが大。

満員電車のみじめさは、日本社会の同調圧力社会=空気社会を証明している。

だが、「目覚めて気分次第で仕事」は、他にやること(主として家族コミュニケーション)がなければ有効だが、仕事は寝起きにするほど大事なものではない。

その意味で、ソーシャルビジネス系代表たちのブログ類は仕事を何よりも優先する「変な価値」が前提にあるので、若者たちを騙す。

告白すると、僕も10年くらい前はそんな価値に毒されていたので他人事ではないのだが、いまは仕事第一主義から(気分だけは)降りたつもりだ。

早朝、僕は、必要時にはパソコンを開けるが(エクセルやfreee等ですね)、だいたいはiPadでSNSか、パソコン使用の場合はYahoo! 等エッセイ系記事を書く。

ここで仕事のアイデアを醸成したり、余生の数年〜数十年を夢想する。この夢想タイムが今の僕を支えているかもしれない。

ホウレンソウは、facebookで

いわゆるホウレンソウは、facebookメッセンジャーほかを利用すればなんとかなる。NPOによってはLINEを使っているところもあるが、個人携帯を拠点にするという点で、スタッフのストレスは上がる。

スタッフのストレスより組織の効率を優先する発想は、社会貢献を無邪気に信奉する(そしてそれは自組織拡大とリンクすると本当に信じる)代表たちが陥る罠だ。

LINEを連絡手段に使われると、よほどの「代表信者」でないかぎり疲れ切り退職する。

Facebookメッセンジャーをホウレンソウの手段にすると、スタッフたちはいやいやながらも「所詮仕事だから」という感覚をともにでき、それぞれのあり方が破綻することはない。

スタッフそれぞれが影でフォローしていけば(メッセンジャー以外にもスタッフ個々の工夫〜ここが今のところの限界ではあるが、人によっては電話やLINEになる)、日々の仕事は進んでいく。

戦略的なものと現場最終責任は責任者(ドーナツトークであれば僕)が書いたり説明したりして行なう。

メッセンジャーで無理な複合案件は、現場(今のドーナツトークなら各高校や住吉区役所や平野区役所)やファーストフードや王将で会って1時間程度のミーティングする。

管理職の悩み解決のヒントはネットにある

ミーティングや会議は残念ながら必要ではある。
だが、これらをどれだけ最小限に抑えるかが、これからの組織トップの腕の見せどころだと僕は思う。

ミーティングでもちかける話題は単に代表や管理職やプロジェクトリーダーの甘えに過ぎない。
これだけネットが拡大した今、「他者」はネットにまずはある。よほどの「実存的事情」でもないかぎり、事業責任者や組織管理職の悩み解決のヒントはネットにある。

あるいは、ネットに直接にはなくとも、それらをヒントにして一人で熟考すれば、答えはやがて訪れる。

もはや前世紀までの「他者」概念は完全に崩れ、リアルな人間と議論する必要はほぼなくなったと僕は思う。
他者はネットに存在し、ネットに直接いなければそこをヒントにしつつ自らに問いかけることで答えは出る。

哲学者の亡きデリダ〈「他者」の哲学者〉であれば、そんなネット系の他者たちを、現代的他者だとして微笑み受け入れてくれるだろう。

スパッと解散解体がおすすめ

ただし、これらは、少数組織だから可能になる。

組織が拡大する場合、責任者ポイント(各事業のトップ)にそれなりの負担がかかり、直近上司にメール以外のフォローが必要になったりリアル会議も頻繁に必要となり、スタッフ全員にストレスが蓄積する。

中でも「電話ストレス」が最低なので、職場から電話を追放するためにも組織は少数がいい。

だから、数名の常勤と数名のアルバイトでなる単位が最も効率的(組織ミッションと事業コンセプトが徹底できる)だと僕は思う。

8割4万法人のボランティア型はさておき、2割1万法人の事業型NPO(特定非営利活動法人)は、数十名組織はスパッと解散解体して数名組織に分割したほうが人々(社会とスタッフ)のためになる。

そうすると、大学生を「組織イメージやミッションを盛って」集める必要もないし、キャリアカウンセラーを毎年毎年入れ替える必要もない。

やりたくもないソーシャルインパクト評価

多くの事業型NPO(一般社団も一部の株式会社も加えるとさらに多い)は、組織維持(スタッフ規模維持)のためにやりたくもないソーシャルインパクト評価などを取り入れている身もふたもない事実があると思う。

スタッフ数が3桁になり売り上げが2億を超えて悦に浸るのは、創業者代表と周辺理事数名のみだ。

僕が思うに、そうした「盛り盛り」NPO組織にいる現場の方は、さっさと退職することをお勧めする。

そして、おもしろくないが今の盛り盛り事業型NPOよりは堅実な社福法人等に転職か、フリーでがんばるほうがストレスは遥かに低い。

ただし、起業は85%が5年以内に解散になるのでリスキーではある(起業成功率はたった6%?100人中94人の起業家が失敗する15の理由)。少数組織の起業とミッション維持は、やはり起業者=責任者にそれなりの才覚が必要になる。

だが、ミッションと各事業プロジェクトがある程度の成果を得ると、解散してもオッケーというのがソーシャルセクターでもある。この点が普通の起業とは違う。

ミッションに達した時点で解散するのが王道というのがソーシャルセクターであり、そう考えると、非常に理念的で頭デッカチな組織形態だと思う。

それを体現化したNPO法はポリティカル・コレクトネスの具体系だと僕が思うのはそうした点からだ。

ソーシャルセクター代表たちが「動物のように」(哲学者のドゥルーズ)他組織といつも競争しひたすら自組織を拡大していくのは僕は嫌いではない。
ただイマイチだなあと思うのは、社会貢献というポリコレに縛られ、自分たちの動物性を隠蔽していることだ。

この隠蔽が、ソーシャルインパクト評価等の偽善性となる。
正直に、「ビッグになりたい」「他組織を蹴散らしたい」「利益追求のために地組織と組む」と言えないのだ。

そうした意味では、現在の中途半端なソーシャルセクターは偽善の塊だと言える😊


競争、生き残り、他者