ついに、上川法務大臣により、離婚後の「養育費」と「共同親権」に関して、2月より法制審議会にかけられることになった。これにより、20年来の課題である民法改正が大きく進むことになる。
従来、離婚後の子どもとの「面会交流」を望む「共同親権」を支持する親たちと、DV被害を恐れる「単独親権」を支持する親たちが鋭く対立してきた(それは当コラムでも度々取り上げている)。
そこに、思想的対立(フェミニズム等)も絡み、同問題は長らく停滞してきている。
その最大の被害者は、「子ども」である。
小さな子どもはなかなか声をあげることは難しい。
そうした子どもが「自分の言葉」を完全に獲得するのは思春期以後だからだ。それまで、子どもという存在は、自分に近い大人たちの言葉や価値に「合わせて」生きる。そうすることで、子ども自身が、自分の存在の維持を無意識的に確保しようとする。
それはいわば、子どもによる究極の自己防衛だとも言える。近しい大人の考えに「合わせる」ことで子どもは自分の命を守る。
そうした事情から、「子どもの言葉」はずっと封印されてきた。離婚による最大の被害者であり「当事者」は子どもであるにもかかわらず、その「沈黙する当事者」の声が封印されてきた。
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そうした現状に対して、上川法相はこのように語る。
上川法務大臣は、記者会見で「父母の離婚で子どもは心身に大きな影響を生じ、親子の交流の断絶など深刻な影響も指摘されている。女性の社会進出や父親の育児への関与の高まりなど、養育の在り方も多様化している」と述べました。
そのうえで「チルドレンファーストの観点で具体的な検討を行っていただきたい」と述べ、民法などの必要な法律を改正するため、来月にも、法制審議会に諮問することを明らかにしました。
ありふれた言葉ではあるが、この「チルドレンファースト」という言葉が、この、共同親権と養育費をめぐる問題のキーワードとなるだろう。
この問題に長年取り組んできた串田誠一議員も、以下のようにツイートしている。
対立の議論、すなわち「共同親権vs.単独親権」「自由な面会交流vs.当たり前の養育費」等々の、長らく対立してきた諸観点を乗り越え、「チルドレンファースト」の一点で関係者がまとまることが求められている。
もうこれ以上、子どもたちに我慢させてはいけない。涙も流させてもいけない。小さな子どもに沈黙させてはいけない。
それが、「大人」の最大の倫理と責任だと僕は思う。
そう、恩讐の彼方にみんなが立って。